古流武道(こりゅうぶどう)とは、日本の古い武術やその伝統を守り継ぐ流派の総称です。これらは、主に戦国時代から江戸時代にかけて形成され、現代に至るまで伝承されています。古流武道は、単に戦闘技術に限らず、精神修養や身体鍛錬、さらには生活の哲学までをも含んだ広範な教えを持つことが特徴です。
歴史的背景
古流武道の始まりは、平安時代後期に遡ることができますが、多くの流派が成立したのは戦国時代に入ってからです。この時期、日本は各地で戦乱が絶えず、武士たちは生き残るため、また戦いで勝利するためにさまざまな武術を磨きました。そして、それぞれの技術や哲学は「流派」として体系化され、後世に伝えられることになります。
江戸時代に入ると、平和な時期が長く続き、武道は実戦から精神的、芸術的な要素を含む修養へとその目的を変えていきました。この時代になると、剣術、弓術、槍術などの武器を使う武術だけでなく、柔術(現在の柔道の前身)、居合術などの無武装の武術も発展しました。
主な流派と特徴
剣術(けんじゅつ): 日本刀を用いる技術。流派によって特色があり、例えば、一刀流、新陰流、伝統的な技術や形(かた)を重んじる流派が多い。
柔術(じゅうじゅつ): 投げ技や関節技を主体とした格闘術。体を柔軟に使い、相手の力を利用する技術が特徴。小野派一刀流や天神真楊流などが知られる。
弓術(きゅうじゅつ): 弓と矢を使う技術。戦場での遠距離攻撃手段として発展し、後には神道とも結びつき、精神修養の手段ともなった。山伏流や本間流が有名。
槍術(そうじゅつ): 槍を使った武術。槍の長さを生かした技術や、短所を補うための近接戦技術が発展。一伝流や薩摩伝来流が存在する。
居合術(いあいじゅつ): 刀を鞘から素早く抜いて斬る技術。突然の襲撃に対処するために発展した。無双直伝英信流や宮本武蔵の流派である二天一流などが有名。
現代における古流武道
現代においても、これら古流武道の多くが継承されており、日本のみならず世界各国で学ばれています。